【FP1級通信添削 解答解説】保険法の規定に関する問題を解いてみよう!
みなさま、こんにちは。
FP技能士1級合格勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。
前回のFP1級通信添削の問題の解答と解説をお届けします。
今回は少し難しい問題だったこともあり、解答を送っていただいたのは3名だけでした。
3名とも、解答自体は正しかったのですが、補足説明の内容がちょっと惜しい、と感じました。
それでは皆様の答えをご紹介しながら、プラスアルファの内容も含めて、お送りしていきますね。
今回のお題となる問題は、こちらでした。
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2018年1月 FP技能士1級学科 基礎編 問10(一部改題)
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保険法に関する次のそれぞれ記述について、適切・不適切のいずれかを答えなさい。
(a) 保険法は、保険契約と同等の内容を有する共済契約についても適用対象となる。
(b) 保険契約者または被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険事故の発生の可能性に関する重要な事項について、自発的に判断して保険者に対して申告しなければならないとされている。
(c) 保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により5年で消滅するとされている。
(d) 保険金受取人は、保険契約者と信頼関係が損なわれるような重大な事由が生じた場合や親族関係が終了した場合に、保険契約者に対し、その保険契約を解除することを請求することができるとされている。
(問題 ここまで)
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それでは、皆様から頂いた解答を、ご紹介していきます。
では、最初の方の解答です。
━━━ ↓解答欄ここから ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(a) 保険法は、保険契約と同等の内容を有する共済契約についても適用対象となる。
→ 正解だと思います。保険法は同等内容別の共済契約についても適用されると思います。
(b) 保険契約者または被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険事故の発生の可能性に関する重要な事項について、自発的に判断して保険者に対して申告しなければならないとされている。
→保険契約の告知事項について、真実を申告する義務があると思います。よって不正解だと思います。
(c) 保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の
返還を請求する権利は、時効により5年で消滅するとされている。
→3年で消滅だと思います。よって不正解だと思います。
(d) 保険金受取人は、保険契約者と信頼関係が損なわれるような重大な
事由が生じた場合や親族関係が終了した場合に、保険契約者に対し、
その保険契約を解除することを請求することができるとされている。
→被保険者しか請求できないと思います。よって不正解だと思います。
━━━ ↑解答欄ここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
丁寧な説明をいただき、ありがとうございます。
(a)(c)(d)の説明はこの通りであっていますが、(b)の説明について補足します。
保険の告知について、真実の告知をすることはその通りです。
ただ、この選択肢が問いかけていたのは、契約者・被保険者側が
・自発的に重要事項を申告する必要はなく
・保険会社から聞かれた重要事項だけに回答すればよい
ということなのです。
この保険法が制定される前は、前者の「自発的告知」が求められてしました。
しかし当時、保険金を請求する時点になって、
「そういえば保険契約の際、●●●について告知しませんでしたよね。だから告知義務違反により保険金はお支払いできません」
のようなやりとりを経て、いわゆる保険金不払いの問題が起こったことがありました。
保険の専門家でない素人が、保険会社が重要と考える判断事項まで理解して告知をするというのは、かなり無理があることです。
なので、この保険法制定により「自発的告知」から、保険会社から聞かれたことだけ答えればよい「質疑応答告知」に改められたのです。
このような背景を含めて理解しておくと、忘れにくくなって便利ですよ!
では、次の方の解答を見てみましょう。
━━━ ↓解答欄ここから ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【問題の答え(必須回答)】
a適切 b不適切 c不適切 d不適切
【なぜその答えなの?の簡単な説明(任意回答)】
a 全て対象
b 質問応答義務が適切
c 保険金請求権と保険料変換請求権の行使可能年数は異なる
d 保険金受取人にその権利はない。解除は保険会社と保険契約者との関係である
━━━ ↑解答欄ここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(a)は共済も対象なので適切ですね。
(b)の質疑応答義務についても理解されていますね。
(c)ですが、保険金を請求する権利も、保険契約者が保険料の返還を請求する権利も、いずれも同じで3年ですね。「5年」という記述を「3年」に直すと正しい文章になります。
さて、(d)について、もう少し詳しく見ていきましょう。
この選択肢は「保険金受取人」を「被保険者」に直すと正しい文章になります。
「保険金受取人にその権利はない」は正しいです。
「解除は保険会社と保険契約者との関係である」という記述について、もちろん保険会社と保険契約者との間で契約解除も行えるようになっています。告知義務違反をしたときには、保険会社側から契約の解除をしますし、契約者が解約を申し出ることもできます。
この選択肢が問いかけていたのは、「被保険者も、(条件付きですが)契約の解除ができる」ということなのです。
この選択肢は、暗黙的に契約者と被保険者が異なることを前提としています。
契約者と被保険者が異なるとき、その保険契約を成立させるためには、被保険者の同意が必要です。
なぜ同意が必要なのかといえば、皆さんも被保険者の立場に立って考えてみるとわかります。
これをお読みのあなたが、ある保険の被保険者だとします。ところが、自分が知らないところで保険契約が締結されており、契約者も保険金受取人もあなたの知らない人。
この状況、不気味に感じますよね?
あなたが死亡することで、知らない誰かが大金を得るわけですから。
保険金詐欺事件の土壌にもなってしまいます。
だから被保険者は、契約者と保険金受取人が誰かを理解したうえで、それでも被保険者になってよいと判断したら、その保険契約に同意をします。そこまですることで、保険契約はようやく成立するのです。
ところが、その同意を経て保険契約が成立しても、本選択肢にあるように被保険者の立場から見て「保険契約者と信頼関係が損なわれるような重大な事由が生じた場合や親族関係が終了した場合」には、もはや保険契約に同意できない(自分が死ぬことで「他人」になった人にお金が渡ることは遠慮したい)と感じることもあるでしょう。
そのような状況下では、被保険者が保険契約の解除を申し出ることができると、保険法で定めらたのです。
ちょっと長くなりましたが、保険法成立の背景に、こんなストーリーがあることも知っておいてくださいね。ここまで踏み込んで理解しておけば、忘れにくく応用も聞きやすくなりますから。
では、最後の方の解答です。
━━━ ↓解答欄ここから ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【問題の答え(必須回答)】
a) 適当
b),c),d) 不適当
【なぜその答えなの?の簡単な説明(任意回答)】
a)保険法2条1に共済も含むとあるから
b)保険法37条本文に事実の告知をしなければならないとあるから
c)保険法95条1に消滅時効が3年と書いてあるから
d)保険法57条本文および3に保険受取人ではなく、保険者は、生命保険契約を解除することができるとあるから
【一言メッセージ(質問、言いたい事、FP体験談、なんでもOK!任意回答)】
保険法96条もあるのに1問しか出ないとか許してください。
常識的に考えてすぐ答えは出たのですが、実際どこに書いてあるのか調べてみましたが合っているのかな?
Cについてだけはこの前ある保険の説明会があったときに調べてから参加した経緯
があったのでここだけは自信があります。
━━━ ↑解答欄ここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
保険法の条文を調べていただいたのですね。ありがとうございます。
調べていただくとわかるように、本問の答えはすべて、保険法の中に書かれています。
(保険法の問題だから、当たり前なのですけれど~)
保険法を完璧に理解するのが、勉強としては最高レベルではありますが、現実にはそこまで難しいでしょう。
でも、保険についてわかりやすく説明した資料は、いくつかあります。
例えば、生命保険文化センターには、保険法の中でFPにとって重要となるポイントを抜粋したページがあります。
下記ページになりますが、これを一通り読めば、本問を十分に解答できます。
http://www.jili.or.jp/knows_learns/law/index.html
しかも、インターネットで無料で見られる教材なのが、いいところですね。
各選択肢の解説は、すでに記載のとおりですので、そちらをご参照くださいね。
ちなみに選択肢(d)は、保険法57条ではなく、58条のほうについて問う問題になっています。ご参考まで。
最後に、下記のコメントもご紹介します。
━━━ ↓解答欄ここから ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【一言メッセージ(質問、言いたい事、FP体験談、なんでもOK!任意回答)】
過去問だけでなく、創作問題もいただければありがたいです。
━━━ ↑解答欄ここまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実は今後、会場に参加者が集まって行う1級学科対策の勉強会の開催を企画予定です。
そちらでは過去問を基本的に使用せず、私のほうで作る問題を使って進行します。
ただ、こちらで行っている通信添削では、基本的に過去問を取り扱い、皆さんの学習の幅を広げ、深みをもたせる効果を狙っていきたいと思っています。
今回・前回の問題でもそうでしたが、過去問で正解を出せたとしても、各選択肢の内容を深く理解できいないケースも多く見られます。
なので、皆さんの学習不足の点をあぶりだし、そこを補強するコメントを私が書くことで、皆さんの学びの質を高められます。
そうすることで、今後の1級試験で、過去問をアレンジした問題や、初出題となる問題が出題されても、対応できる力をつけることができます。
この点については、3/17(土)に行うガイダンス会でもコッテリお伝えしていきますね。
話が少しそれましたが、この学習の狙いを考えると、過去問を使うのが皆さんにとってもやりやすいと感じています。
なので、今後も過去問を使いながら、皆さんの学習の補強に努めていくことを、ご了承いただけますと幸いです。
本日の解説は以上です。次の問題は、明日にお送りしますね!
今後も、この過去問通信添削の企画に、気軽に参加してくださいね。
皆さんの解答を、他のどこでも得られない奥深い学びに、私が変えていきますから!
今後とも、よろしくお願いいたします。
1か月後に開催のガイダンス会も、まだまだ参加者募集中です!
合格者の方から、合格までの体験談をお話しいただくパネルディスカッションもありますので、ご都合付く方はぜひお越しくださいね!
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■ 今後の勉強会の開催予定
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●3/17(土) 難関FP1級学科を乗り越えるための合格ガイダンス会
<姉妹サイト:FPスキル実践活用勉強会のご案内>
試験勉強で得た知識を発揮し、FPの実務力を高める内容を扱っています。
FPの方、FPを目指す方が集まる懇親会もあります。
●2/17(土) 若者向け金融教育を体験し、実践できるようになろう
●3/23(金) FP相談やってみよう:投資の損失で老後不安を抱えた相談者編
参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから: