FP技能士1級合格勉強会ブログ

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FP1級通信添削.7の解答解説:公的遺族年金の受給に関する問題

みなさま、こんにちは。

FP技能士1級合格勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

前回の、FP1級通信添削の解答・解説をお届けします。

今回は解答いただいたのはお一人だけでしたので、その方の解答をもとに解説を進めていきますね。

(来週以降は、もっとたくさんのご解答をお待ちしています♪)

お題となる問題は、こちらでした。

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    2018年1月 FP技能士1級学科 基礎編 問3(一部改題)

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公的年金制度の遺族給付に関する次のそれぞれ記述に対して、適切/不適切のいずれかを答えなさい。なお、適切である場合にはその理由も記載し、不適切な場合には正しい内容を補足説明すること。

1) 厚生年金保険の被保険者であり、その被保険者期間が192月である夫(38歳)が死亡し、その夫に生計を維持されていた遺族が妻(42歳)のみである場合、その妻が受給する遺族厚生年金には中高齢寡婦算額が加算される。

適切

夫死亡時に40歳以上で子のいない妻や、子があってもその子が遺族基礎年金における加算対象外となったときに40歳以上の妻には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。

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はい、説明いただいた通り適切な選択肢です。

このケースでは、遺族が妻のみ(つまり子はいない)であり、妻の年齢が40歳以上であるため、中高齢寡婦加算の対象となります。

もし、この前提に加えて子供がいるならば、その子が18歳を過ぎた次の3月末までは遺族基礎年金が支払われるので、遺族基礎年金の受給終了後から、中高齢寡婦加算も受け取れる、ということになりますね。

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2) 厚生年金保険の被保険者であり、その被保険者期間が384月である妻(50歳)が死亡し、その妻に生計を維持されていた遺族が夫(50歳)と子(15歳)の2人である場合、夫は遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給することができる。

不適切

遺族基礎年金の支給対象は被保険者(夫・妻)が死亡した当時、生計維持関係にある子供と同一生計の配偶者と18歳未満(18歳到達年度末まで可)または20歳未満で障害有り、かつ、結婚していない子が受給できる。そして配偶者が優遇されます。

 遺族厚生年金の支給対象は 死亡した被保険者によって生計を維持されていた「配偶者および子、父母、孫、祖父母(←支給順位順)」で、最高順位の者以外には受給権がありません。また、妻以外の遺族の場合、子・孫は18歳未満(18歳到達年度末まで可)または20歳未満で障害有り、夫・父母・祖父母は55歳以上(支給は60歳から)が受給できます。

 よって、 遺族基礎年金は「子のある配偶者」である夫に支給され、子の18歳到達年度末までは子の加算1人分となります。

 しかし、遺族厚生年金は夫は50歳のため遺族厚生年金の支給対象とならず、子の18歳到達年度末まで子供に支給されます。

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解答ありがとうございます。ご説明の通り、不適切となりますね。

本選択肢で必要となる以上の解説を書いていただきましたが、解答の本質だけを取り上げますと、

・遺族厚生年金の受給者は、「配偶者および子」となる

・配偶者である夫は、55歳以上でなければ遺族厚生年金を受給できないが、現在夫は50歳なので受給権はない。

・子は、まだ18歳になっていないため、子に受給権が生じ、受給することができる

という判定により、夫ではなく子が受給者となるわけですね。

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3) 老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給していた夫(70歳)が死亡し、障害基礎年金を受給している妻(67歳)が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、その妻は、障害基礎年金と遺族厚生年金のいずれか一方を選択して受給することになる。

不適切

障害基礎年金と遺族厚生年金は、受給権者が65歳以上の場合に併給可能

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この選択肢は不適切ですね。

説明いただいたとおり、65歳以上の場合には、障害基礎年金と遺族厚生年金は、いずれか一方ではなく両方を併給することが可能です。

・65歳以上の場合、障害基礎年金は、どの厚生年金とも併給できる

・65歳以上の場合、遺族厚生年金は、どの基礎年金とも併給できる

と覚えておけばバッチリですよ!

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4) 平成29年8月1日以降、老齢厚生年金の受給権者の死亡を事由とする遺族厚生年金は、死亡者の国民年金の保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合計した期間が10年以上あり、かつ、一定の要件を満たす死亡者の遺族に支給される。

不適切

厚生年金保険の被保険者が死亡した場合(短期要件)以外にも、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合にも、遺族に支給(長期要件)され、1級・2級の障害厚生年金の受給者が死亡した場合も支給される。

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解答ありがとうございます。遺族厚生年金の受給要件は少しややこしいですよね。

まず、選択肢に「老齢厚生年金の受給権者の死亡を事由とする遺族厚生年金」という記述があります。これは、短期要件ではなく長期要件の場合を指しています。

長期要件に該当する場合は、ご説明いただいたとおり、受給資格期間が25年以上あることが受給要件となります。

なお、選択肢中に「平成29年8月1日以降」と記載されています。

平成29年8月1日以降、老齢年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されましたね。

ですが、遺族厚生年金の長期要件における受給資格期間は、10年に短縮されたわけではなく、依然として25年のままなのです。

この違いを分かっているかどうかを問う意図があったものと思います。

他の皆様は、正しく正解を導けたでしょうか?

テキスト等の教材に頼ることなく、自らの記憶だけで答えられるくらいに、学習を積んでくださいね。

過去問を使って勉強するときでも、全ての選択肢を他人に解説できるくらいのレベルを目指してくださいね。

理解がより一層深くなり、試験対策だけでなく他人へのアドバイスにも深みが出ますよ!

次の問題は、明日に配信しますので、お楽しみに!

 

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