FP技能士1級合格勉強会ブログ

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FP1級通信添削.24の解答解説:土地のまた貸し評価に関する問題

みなさま、こんにちは。

FP技能士1級合格勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

先週の、FP1級通信添削の解答・解説をお届けします。

 

前回5月に行われたFP技能士3級と2級の試験問題から、1級受験者向けにアレンジして出題していきます。

このシリーズの最終回の問題となります。

今回は3人の方より回答をいただきましたが、全員部分的には正解していたのですが、残念ながら完全正解者はいらっしゃいませんでした。

お一人ずつ解答をご紹介することも考えましたが、今回は正しい解答と考え方をまずはご説明していきたいと思います。

解答をお送りいただいた皆さんは、自分の解答と読み比べながら違いを把握し、正しい知識を身につけていただければと思います。

今回配信した問題は、こちらでした。

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 2018年5月実施 FP技能士2級 学科 問57をもとにしたオリジナル問題

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土地所有者であるAさんは、Bさんに借地権を設定してその土地を賃借した。

Bさんは、さらにCさんに対して借地権を設定して、その土地を賃借した。

Cさんは、その土地上に自身の居住用住宅を建て居住している。

以上の内容について、Aさんは承諾している。

この土地の自用地評価額は100,000,000円、この土地の借地権割合は「D」である。

以上の前提のもと、下記文章の( )に当てはまる言葉、数値を記入しなさい。

数値については計算過程を別途示したうえで、1円未満の端数は切り捨てること。

この土地は、Aさんにとっては「貸宅地」とみなし、Aさんにかかるこの土地の相続税評価額は(   )円である。

Bさんにとっては(    )とみなし、Bさんにかかるこの土地の相続税評価額は(   )円である。

Cさんにとっては(    )とみなし、Cさんにかかるこの土地の相続税評価額は(   )円である。

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実は今回の2級試験で、「転貸借地権」という言葉がでました。

これは、借地権をさらに貸し出した場合に登場する言葉です。

設例にもあるように、地主Aさん→Bさん→Cさん、というように土地をまた貸しした場合に、登場する言葉になります。

それでは、この問題の答えを順にみていきましょう。

 

まず、借地権割合を把握することが先ですね。

借地権割合がDですから、数値では60%となりますね。

 借地権割合がA → 借地権割合=90%

 借地権割合がB → 借地権割合=80%

 借地権割合がC → 借地権割合=70%

    ・   →    ・

    ・   →    ・

    ・   →    ・

のように、90%から始まって10%ずつ下がっていきます。

借地権割合を表すアルファベットと借地権割合の対応付けは、実は2級でも暗記事項ですから、しっかり覚えておいてくださいね。

それではAさんにかかる相続税評価額ですが、貸宅地ですから、

 100,000,000×(1-借地権割合60%)=40,000,000 (4000万円)

となります。これは、3級でも学ぶ超基本ですね!

解答をお送りいただいた3人とも、バッチリ正解でした!

ただ、以後のBさんとCさんにかかる相続税評価額では、答えが分かれていましたので、以後の内容をしっかり理解していってくださいね。

 

まず、BさんがCさんにまた貸しする前の時点では、Bさんにおいては「借地権」としてこの土地を評価するので、

 借地権=100,000,000×借地権割合60%=60,000,000 (6000万円)

が評価額となります。ここで、下記の等式が成り立つことを思い出してください。

 自用地評価額 =  貸宅地 + 借地権

 100,000,000 = 40,000,000+60,000,000

もとの自用地の評価を、二人で4:6で分け合うことにもなるわけです。

 

さて、BさんがさらにCさんに借地権を設定して貸します。

実はこのとき、Bさんの評価額を、BさんとCさんでさらに4:6で分け合うこととなるのです。

Cさんに貸した後、Bさん側の評価額を「転貸借地権」といい、下記計算式で算出します。

 転貸借地権 = 借地権 ×(1-借地権割合60%)= 60,000,000×0.4

       = 24,000,000 (2400万円)

Cさん側の評価額を「転借権」と言い、下記計算式で算出します。

 転借権 = 借地権 × 借地権割合60% = 60,000,000×0.6

       = 36,000,000 (3600万円)

以上より、問題の答えは、次のようになります。

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この土地は、Aさんにとっては「貸宅地」とみなし、Aさんにかかるこの土地の相続税評価額は( 40,000,000 )円である。

Bさんにとっては( 転貸借地権 )とみなし、Bさんにかかるこの土地の相続税評価額は( 24,000,000 )円である。

Cさんにとっては( 転借権 )とみなし、Cさんにかかるこの土地の相続税評価額は( 36,000,000 )円である。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ここまで━━━━━━

このように、3者にまたがって土地が貸し出された場合においても、3人の評価額の合計は、元の自用地評価額と一致します。

自用地評価額 = 貸宅地 + 転貸借地権 + 転借権

  1億円  = 4000万円 + 2400万円 + 3600万円

いかがでしたでしょうか。

土地のまた貸し評価の評価ルールについても、この機会には理解しておいてくださいね。

 

次回からは、1級学科試験日が近づいてきているので、過去問ベースの問題配信を続けていきます。

次回の問題は明日に配信いたしますので、お楽しみに!

 

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