FP1級通信添削.15の解答解説:特定の居住用財産の買換え特例に関する問題
前回の、FP1級通信添削の解答・解説をお届けします。
今週の解答解説は木曜配信となり、いつもより遅れてスミマセン。。。
7/29(日)に、「FP1級新制度&制度改正事項 徹底対策勉強会」を開催します。
この勉強会で使用する問題から、一部抜粋して出題しています。
今回も、皆様から解答をいただきました。
その回答をご紹介しながら、私からも解説をお伝えしますね。
では、最初のお送りいただいた解答をご紹介します。
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7/29(日)開催のFP1級新制度&制度改正事項 徹底対策勉強会より、さらに改題
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下記の記述が正しい場合は、〇を記入のうえ、FPとして一言程度補足の説明を加えてください。
記述が誤っている場合は、誤りの箇所を正しい記述に訂正しなさい。
「2018年4月以降、特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡所得の特例の適用を受けるにあたり、買い替え資産が中古住宅である場合には、建築後25年以内の耐火建築物であることと、一定の耐震基準を満たすことの両方の要件を満たさなければならない。」
■お送りいただいた解答
誤りです。
中古住宅である場合の要件としては、「非耐火住宅で取得日以前25年以内に建築されたもの、または地震に対する安全性に係る規定のいずれかを満たすこと」となります。
よって、両方の要件を満たす必要はありません。
■お送りいただいた解答
問題文中、「建築後25年以内の耐火建築物であることと、一定の
耐震基準を満たすことの両方の要件を満たさなければならない。」
とある部分が誤りです。
正しくは以下の通りです。
「建築後25年以内の耐火建築物の中古住宅であること。ただし、
一定の耐震基準を満たすものについては、建築年数の制限はない。」
要件の両方を満たす必要はないという事になります。
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解答いただき、ありがとうございました。
この問題の答えは「誤り」であっていて、両方の要件を満たす必要はない、という点も正しいです。お書きいただいた2点、
・非耐火住宅で取得日以前25年以内に建築されたもの
・地震に対する安全性に係る規定を満たす(=一定の耐震基準を満たしている)
の場合は、確かにこの特例の適用を受けられます。
ですが、これ以外にも特例の適用を受けられるケースがありますので、それも含めてもれなく書けているとベストですね。
さらに次の方の解答を見てみましょう。
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■お送りいただいた解答
・「建築後25年以内」を「取得後25年以内に建築」
・「と、一定の耐震基準を満たすことの両方の要件を満たさなければならない」を「一定の耐震基準を満たすものは建築年数の制限はない」
の2つを直す
買い換えるマイホームが、耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
ただし、耐火建築物以外の中古住宅及び耐火建築物である中古住宅のうち一定の耐震基準を満たすものについては、建築年数の制限はありません。
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解答ありがとうございます。
まず、「建築後25年以内」を「取得後25年以内に建築」 に直された点ですが、これは結局同じことを意味していますので、特に直す必要はない箇所です。
ちょっと深く考えすぎてしまったのかもしれませんね (^_^)
さて、この解答内容を整理すると、次のようになりますね。
■耐火建築物で、建築後25年以内のもの
適用を受けられる。
■耐火建築物で、建築後25年を超えるもの
一定の耐震基準を満たすなら、適用を受けられる。
■耐火建築物でない建物
築年数を問わず、一定の耐震基準を満たすなら、適用を受けられる。
「建築年数の制限はない」という表現は、一般の人にもわかりやすく言い換えると「築年数に関係なく適用を受けられる」となりますね。
法律上の言い回しは、分かりにくいものです・・・。
一般の人に説明するときには、言い換えるといいですね。
ですがこの解答では、「耐火建築物でない建物」の説明が、残念ながらまだ完ぺきではありません。
さて、ここまで3人の解答は、おそらく2018年4月以降の改正内容の差分の記述を参考にして解答を書かれたものと想像します。
差分の解説なら上記説明であっているのですが、改正後の内容も含めて
・どのような条件で適用可能となり
・どのような条件なら適用できないのか
の全容を説明しきれていないのです。部分的な説明にとどまっているのです。
まあ、既存の税制改正の記述が、そもそも部分的な書き方ですからね・・・
ではここで、きちんと整理して理解しておきましょう。
2018年4月の改正の前後で、この買い替え特例の適用要件がどのように変化したかを、下記の通りまとめています。
■耐火建築物で、建築後25年以内のもの
改正前も、改正後も、適用を受けられる。
■耐火建築物で、建築後25年を超えるもの
改正前は、適用を受けられなかった。
改正後は、一定の耐震基準を満たすなら、適用を受けられる。
■耐火建築物でない建物
改正前は、築年数に関係なく、適用を受けられなかった。
改正後は、つぎのいずれかを満たすと、適用を受けられる。
・建築後25年以内である
・一定の耐震基準を満たしている
改正前後で、このような変化がある点を、覚えておいてくださいね。
で、結局「改正後」の中古住宅に対する要件は、次のように2つに整理されるのです。
[次のいずれかの要件を満たすこと]
・建築後25年以内であること
・一定の耐震基準を満たしている
耐火建築物かどうか、という要件はなくなりました。
耐火建築物も、耐火建築物でないものも、同じ条件になったからです。
シンプルになりましたね(笑)
「シンプルになった」と、税制改正の解説記事に書いてあってもいいのになあ~。
世間の税理士さんは、みんな難しく考えすぎですよ(笑)
では最後の方の解答をご紹介します。
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中古家屋で耐火建築物以外のものである場合の要件に、その取得の日以前25年
内に建築されたものであること、又は耐震基準のいずれかを満たすことを加えた上、
その適用期限を2年延長し、平成31年12月31日までの譲渡について本特例の適
用対象となります。
なお、中古家屋で耐火建築物以外のものを取得した場合でも、その取得期限までに
改修等を行うことにより要件をクリアしたものには、要件を満たす家屋を取得したものと
みなされます。
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特例を適用できるかどうかの細かい解説は、すでに記載しておりますのでそちらをご参照ください。
お送りいただいたこちらのご解答には、1級受験者が知っておくべき補足事項について触れられています。
「その適用期限を2年延長し」とありますが、この特例は2年ごとに延長され続けている特例ですよね。
実は延長されるたびに、要件が多少変化することがここ最近は続いています。
次も2年間延長されるような気もしますけれど(笑)、その際には適用要件に変化がないかどうかを注意深く見るようにして下さいね。
「中古家屋で耐火建築物以外のものを取得した場合でも、その取得期限までに
改修等を行うことにより要件をクリアしたものには、要件を満たす家屋を取得
したものとみなされます」とお書きいただいた点も、細かいですが知っておくべきところです。
要は、建築後25年を経過していて耐震基準を満たしていない建物は、そのままでは特例の適用を受けられないけれど、取得直前までに耐震リフォームして耐震基準を満たしたなら、特例の適用を受けられますよ、ということですね。
以上の細かいところも、1級試験では出題される可能性があるので、皆さん覚えておいてくださいね。
以上が、解説となります。
解説が、なんだかすごく長くなったなぁ・・・
火曜に配信できなかったいいわけです(笑)
3級で概要を勉強したこの特例ですが、適用要件を正確に説明しようとすると、意外と奥が深いですよね。
この特例の細かいところを出題したり、税の計算問題を出題してくるのが1級学科試験です。
下記に国税庁のURLもご紹介しますので、細かいところも含めて理解してくださいね。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm
7/29(日)に開催する「FP1級新制度&制度改正事項 徹底対策勉強会」では、この問題を含め、直近1年ほどで改正された内容を100~150問程度用意しています。なかなか自力では理解しづらいところも集中的に学べますので、次の試験で得点アップを狙う方は、ぜひご参加くださいね。
この勉強会の詳細と参加申し込みは、下記URLよりお願いいたします。
https://money-study.net/1fp/session/
今回いただいた一言コメントは、後日ご紹介させていただく予定です。
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今後の勉強会の開催予定
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■7/22(日) 難関FP1級学科を乗り越えるための合格ガイダンス会
■7/29(日) FP1級新制度&制度改正事項 徹底対策勉強会
・8月(予定) FP技能士1級学科 総合力強化勉強会
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