FP技能士1級合格勉強会ブログ

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FP1級通信添削.3の解答:ETFとETNに関する問題

前回の、FP1級通信添削の解答・解説をお届けします。

今回のお題となる問題は、こちらでした。

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    2018年1月 FP技能士1級学科 基礎編 問18(一部改題)

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ETF(Exchange Traded Fund)およびETN(Exchange Traded Note)に関する次の記述のそれぞれについて、適切/不適切のいずれかを答えなさい。

なお、解答にあたり、FPの立場から一言程度の補足説明も加えてみて下さい。

1) ETFは、取引所の立会時間中、成行注文や指値注文による売買が可能である。

2) ETFは、現物取引による売買に限られており、信用取引による売買はできない。

3) ETNは、発行体である金融機関の倒産や財務状況の悪化等の影響により、価格が下落または無価値となる可能性がある。

【追加問題(余力がある方向けの任意回答)】

そもそもETNとは何かを、FPの立場から簡単に説明してください。

※これを説明できるかが、本問を得点する上での大きなポイントとなります!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━(問題ここまで)━━━

それでは、皆様から頂いた解答を、ご紹介していきます。

最初の3つの問題に対する解答ですが、皆様ほぼ同じ内容を記載されていましたので、代表しておひとりの方の解答をご紹介します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1)適切

2)不適切

3)適切

1と2のETF(上場投資信託)は、証券取引所に上場された投資信託で、通常の株式と同様に、指値注文や成行注文、信用取引が可能だからです。

3については追加問題で記載します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

正誤の正解は、上記の通りです。

1) について、ETFでは上場株式と同じように、指値注文や成行注文が可能です。

もちろん、すべてのETF銘柄で、指値注文や成行注文が可能です。

2) について、ETF信用取引による売買も可能です。

ただし、全ての銘柄で信用取引ができるわけではなく、

制度信用取引なら、取引所が選定した銘柄のみ

一般信用取引なら、証券会社が対象と定めている銘柄のみ

 (実際のところ、大半の銘柄が対象です)

となっています。

ちなみに、これって、実際に証券口座を開いて取引されている方だと、体験として理解している基本事項になりますね。

実際に取引経験があるかどうかで、試験に対する答えやすさが変わってくる例といえるでしょう。

今回のお題では「解答にあたり、FPの立場から一言程度の補足説明も加えてみて下さい」という一文を追加してみました。

この問題文の内容を、あなたが誰かに口頭で質問されたときに「はい、そうです」「いいえ、違います」と短文で返すと、ちょっと愛想ないですよね。

FPとしての相談現場では、何かしら一言、追加の補足も含めて説明してあげることが多いかと思います。

↑に書いたような、ちょっとした一言で構いません。

みなさんも、その一言がパッと出るようになると、FPらしく振る舞えますよ♪

その観点も狙って、今後のお題でも、皆様からの一言補足説明を楽しみにしたいと思っています。

今回は、3) のETNについて、追加問題をお出ししました。

みなさん、「ETNってなあに?」と聞かれて、パッと答えられますでしょうか?

そのトレーニングもかねて実務力アップのため、ETNを直接説明する問題を今回追加してみました。

3人の方から解答をいただきましたので、いったんすべて、ご紹介しますね。

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■1人目の解答:

ETN(上場投資証券)は、発行体となる金融機関がその信用力をもとに、

価格が特定の指標に連動することを保証する債券です。

<リスク面>

発行体である金融機関の倒産や財務状況の悪化等の影響により、

ETNの価格が下落したり無価値となる場合がある。

<償還期間>

発行時点から償還期間定められていますが、通常の社債券のように

額面金額で償還されるわけではありません。

<分配金>

基本的に分配金はありません。

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■2人目の解答:

ETNとは指標連動証券のこと。ETFと異なり証券に対する裏付け資産が

ないため、発行体である金融機関の破綻時は元本保証なしとなる

リスクがある。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■3人目の解答:

ETN→上場投資証券。発行体となる金融機関がその信用力をもとに価格が

特定の 指標に連動することを保証する債券。

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みなさん、回答ありがとうございました。

基本的には、この説明の通りです。

私からちょっとだけ、補足しますね。

ETNはETFと言葉は似ていますが、金融商品としては全く別物です。

ETF:Exchange(取引所で) Traded(取引される) Fund(投資信託)

ETN:Exchange(取引所で) Traded(取引される) Note(債務証券=債券)

から分かるように、ETNは債券の一種といえます。

ですから、債券が持つ性質である「発行体の信用リスク」を持っているため、「発行体である金融機関の倒産や財務状況の悪化等の影響」によって価格が低下したり、無価値となるわけです。

例えば、TOPIXに連動するETNを考えてみましょう。

TOPIXを構成する銘柄が業績悪化となれば、TOPIXの指数は下落しますし、それに連動してTOPIXのETNの価格も下落します。

つまり、価格変動のリスクはETFと同等に保有しています。そのうえで、発行体の信用リスクも含まれるため、「ETFよりもリスクの高い金融商品」と呼ばれてしまうこともあります。

ところで、債券は一般的に、中途換金がしづらいものです。

ですがETNは、いわば「上場された債券」なので、一般的な社債より中途換金しやすく、値崩れも起こりにくい(流動性リスクが小さい)とも言われます。

ここまでの説明で「上場された債券」と表現してきましたが、厳密には「債券を、信託の仕組みをもとにして証券化したもの」が上場されたものとなっています。

ETNは、資産の裏付けがないという点も特徴ですね。

例えば投資家がETFを購入すると、そのお金は金融機関を経由して実際に金融商品を購入することになります。これを「裏付け」と呼んでいるわけです。

しかしETNの場合には、このように対象資産を買う必要がありません。買わなくてよいのです。

裏付け資産を買わないのに、どうして指標に連動させるの?という疑問がわくかもしれません。

これは単に「約束」しているだけです。

通常、額面100円の債券が「償還時に100円を支払う」のを約束しているだけなのと同じように、ETNは「指標と同じ価格で償還・中途換金する」のを約束しているだけなのです。

だからこそ、発行体の財務状況が悪化すると、この約束が果たされない可能性が高まることになるのです。

ちなみに、現時点で上場されているETNの一覧は、下記の日本取引所のサイトで確認できます。

なんとなく、デリバティブの香り漂う銘柄が多いですが・・・(笑)

http://www.jpx.co.jp/equities/products/etns/issues/01.html

本日の解説は以上です。次の問題は、明日にお送りしますね!

また、いただいた一言コメントは、今週どこかで別途ご紹介のうえ、私からもコメントをお返ししたいと思っています。

今後も、この過去問通信添削の企画に、気軽に参加してくださいね。

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■ 今後の勉強会の開催予定

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