FP1級通信添削.23の解答解説:特別の定めのある相続税評価に関する問題
先週の、FP1級通信添削の解答・解説をお届けします。
今回は、解説のお届けが遅くなりまして申し訳ございません。
FP技能士1級勉強会を含めた勉強会運営のほうでちょっと忙しくしておりました。
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ここ最近は、前回5月に行われたFP技能士3級と2級の試験問題から、1級受験者向けにアレンジして出題していきます。
皆様から頂いた解答をご紹介しながら、私からも解説をお伝えしますね。
今回は難易度が高い問題でしたが、お二人の方から回答をいただきましたので、ご紹介していきます。
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2018年5月実施 FP技能士2級 学科 問57を改題
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次の文章を読み、後の問題に答えなさい。
相続税法では、財産評価の原則として、特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈または贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価によるとあり、特別の定めのあるものとして、地上権および永小作権、給付事由が発生している定期金に関する権利、給付事由が発生していない定期金に関する権利、立木についての評価方法を規定している。
問題1:
特別の定めがあるとされる「地上権」について、その評価方法または算式を答えなさい。
■お送りいただいた解答
地上権とは,他人の土地において工作物又は竹木を所有するため,その土地を使用する権利であるところ(民法265条),地上権設定契約等によりその存続期間が定められます(もっとも,存続期間の定めは必須ではなく,また,存続期間を永久とすることも判例上は有効とされています)。地上権の財産評価に関する「特別の定め」は相続税法23条ですが,その規定によれば,①地上権の目的たる土地の地上権設定時における,地上権が設定されていない場合の時価に,②地上権の存続期間の残存期間に応じて定まる割合(存続期間の定めの無いものは40%),を乗じて算出した金額によって評価されることになります。
■お送りいただいた解答
・地上権(借地借家法に規定する借地権又は民法(地下又は空中の地上権)の地上権(区分地上権)に該当するものを除きます。)の評価額は、
自用地価額に、法定評価割合を乗じて得た額です。
・地上権の設定されている土地(底地)の評価額は、
自用地価額から、先ほど求めた地上権の評価額を引いた額です。
<法定評価割合について>
残存期間 法定評価割合
10年以下 100分の5
10年超15年以下 100分の10
15年超20年以下 100分の20
20年超25年以下 100分の30
25年超30年以下及び地上権で残存期間の定めないもの 100分の40
30年超35年以下 100分の50
35年超40年以下 100分の60
40年超45年以下 100分の70
45年超50年以下 100分の80
50年超 100分の90
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お二人とも、回答ありがとうございました。
地上権ってなあに?というのは、1級学科の受験者は必須の知識だと思ってください。
こちらのサイトが、地上権を分かりやすく解説しています。
https://iqra-channel.com/superficies
分かりやすく説明されていますが、試験対策で必要な知識は十分に得られません。さらにインターネットで調べれば、いろいろ解説がありますので、人に説明できるくらいの理解度を目指しておいてくださいね。
地上権はイメージとして、賃借権と所有権の中間的特徴を持つ権利です(中間より、どちらかといえば所有権よりでしょうか)
主に地下施設、高架施設、鉄塔など公共的構築物を建設するときに用いられます。
建設者側は土地の所有権を取得できればよいのですが、そうはいかず、とはいえ賃借権の設定だと何かと地主に承諾を取らなければ設備のメンテナンスや改修もままなりませんので、地上権を選択するというケースもあります。
お一人目の方の解答に、地上権についての解説がありますので、その内容は皆さんも確認して下さいね。
お二人目の方の解答には、具体的な評価方式が書いてありますので、参考にしてください。
ポイントは、次の通りです。
・地上権の残存期間によって、評価割合(借地権割合のようなもの)が定められている
・残存期間の定めがなければ、評価割合は40%である
・評価割合は、5年区切りで10%ずつ変化する
・評価割合は、5%~90%の範囲である
以上が地上権についての評価方式ですが、この内容をパッと思い浮かぶくらいに繰り返し学習をしていきましょうね。
それでは、次の問題を見ていきましょう。
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問題2:
特別の定めがあるとされる「給付事由が発生している定期金」について、その評価方法または算式を答えなさい。
■お送りいただいた解答
相続税法24条1項によれば,有期定期金,無期定期金又は終身定期金によって評価方法が異なるものとされています。具体的には,
①有期定期金
次の1~3のうち、いずれか多い金額
1.定期金給付契約に関する権利を取得した時においてその契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額
2.定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額
3.定期金給付契約に関する権利を取得した時におけるその契約に基づき定期金の給付を受けるべき残りの期間に応じ、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額
②無期定期金
次の1~3のうち、いずれか多い金額
1.定期金給付契約に関する権利を取得した時においてその契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額
2.定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額
3.定期金給付契約に関する権利を取得した時における、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額を、その契約に係る予定利率で除して得た金額
③終身定期金
次の1~3のうち、いずれか多い金額
1.定期金給付契約に関する権利を取得した時においてその契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の金額
2.定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、定期金給付契約に関する権利を取得した時において一時金の給付を受けるとしたならば給付されるべき一時金の金額
3.定期金給付契約に関する権利を取得した時におけるその目的とされた者に係る余命年数に応じ、その契約に基づき給付を受けるべき金額の一年当たりの平均額に、その契約に係る予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額
■お送りいただいた解答
次に掲げる金額のうちいずれか多い金額
・ 解約返戻金の金額
・ 給付一時金の金額
<有期定期金の場合>
・給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額に、残存期間に応じる予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額
<無期定期金の場合>
・給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額を、予定利率で除して得た金額
<終期定期金の場合>
・給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額に、終期定期金に係る定期金給付契約とされた者の平均余命に応じる予定利率による複利年金現価率を乗じて得た金額
複利年金現価率=<1-1/(1-r)のN乗>/r
「r」=定期金給付契約に係る予定利率
「n」=給付期間の年数
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お二人とも、回答ありがとうございます。
書き方は違いますが、同じことを説明しており、内容も正しいです。
「給付事由が発生している定期金」の具体例としては、受取中の個人年金や、受取中の収入保障保険の保険金などが該当しますね。
1.解約返戻金の金額
2.一時金で受け取れるときの、その一時金の額
3.今後受け取れる総額を、金利で割り引いた金額
(イメージとして、年金現価係数を使った計算結果の金額)
のうち、最も多い金額が相続税評価額となります。
上記3の金額については、受け取り終えるまでの期間の違いによって、さらに
・有期定期金の場合(個人年金の有期年金のイメージ)
・無期定期金の場合(現実には存在しないだろうと、個人的には思っています)
・終身定期金の場合(個人年金の終身年金のイメージ)
のそれぞれで、計算式の一部が異なっています。
国税庁のページもご紹介しますので、参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/sozoku/100702/02.htm
この「給付事由が発生している定期金」は、2級試験でも出題されていますので、1級受験の皆様は必須の知識として理解しておいて下さいね。
残りもう1問の解説がありますが、ちょっと長くなってしまっていますので、続きは次回にお伝えします。
次回の解説を、楽しみにしてくださいね!
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今後の勉強会の開催予定
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