FP1級通信添削.5の解答:筆界特定制度に関する問題
前回の、FP1級通信添削の解答・解説をお届けします。
今回のお題となる問題は、こちらでした。
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2018年1月 FP技能士1級学科 基礎編 問34(一部改題)
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筆界特定制度に関する次の記述のうち、それぞれ適切/不適切のいずれかを答えるとともに、あなたがFPとなったつもりで一言程度、関連する補足説明を加えてみてください。
1) 筆界特定制度は、筆界特定登記官が土地の筆界の現地における位置を特定する制度であり、筆界特定により各土地の所有者が有する所有権の及ぶ範囲が確定する。
2) 隣接する土地との筆界は、筆界特定制度によらずに、各土地の所有者同士が合意のうえ、連名による公正証書等による書面により変更することもできる。
3) 隣接する土地との筆界について筆界特定の申請をする場合、あらかじめ隣接する土地の所有者の承諾を得た場合を除き、各土地の所有者が共同して申請をしなければならない。
4) 筆界特定書の写しは、隣地所有者などの利害関係を有する者でなくても、対象となった土地を管轄する登記所においてその交付を受けることができる。
【余力がある方向けの、ワンランクアップ追加問題(任意回答)】
筆界特定制度は、どのようなメリット・意義がある制度でしょうか?
一般の方にも分かるよう、あなたがFPになったつもりで簡単に説明して下さい。
※これを説明できるかが、本問を得点する上での大きなポイントとなります!
【一言メッセージ(質問、言いたい事、FP体験談、なんでもOK!任意回答)】
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「筆界」なんて、FP1級を受験されるほとんどの方ですら、なじみのないものではないでしょうか。
初めて聞く言葉を出題されたら、手も足も出ない・・・という状況になりますよね。
でも、FP6分野と関連ある内容ですから、初めて見る言葉もしっかり学ぶ!
そして、どんなときに役立つのか、どういう方の困りごとを解決できる知識となるのか、も考えながら勉強する!
という姿勢で、日々学習を積んでいただければと思います。
それでは、皆様から頂いた解答を、ご紹介していきますね。
■お寄せいただいた解答
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1)不適切
1)所有権は特定しない
2)不適切
2)所有者同士が合意しても変更できない
3)不適切
3)隣接する所有者の一方または共同で申請できる
4)適切
4)筆界が特定されると、登記所で筆界特定書が公示(保管)され、利害関係のない人でも、筆界特定書の写しを交付してもらえる。
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解答ありがとうございます。
選択肢4が適切で、それ以外は不適切が正解ですね。
1)は、ご解答いただいた通り、所有権を特定するものではありませんね。
筆界特定制度は、選択肢にあるとおり「土地の筆界の現地における位置を特定する」という効果だけを持つものです。
分かりやすく言い換えると、登記されている土地と土地との境界線(=筆界)が、現実に地面上のどこに相当するの?という疑問をはっきりさせる制度、ということですね。
2)も解答いただいた通り、所有者同士で合意変更できません。
筆界を変更したければ、登記による方法でしか認められていません。
そもそも筆界というのが、登記上の土地と、そのお隣にある登記上の土地との、境界線という意味ですからね。
3)も解答いただいた通りで、筆界に接する土地のどちら側でもよいので、その一方の所有者が申請すればOKです。
なお、土地の所有者に限らず、その相続人の申請も認められています。
ちなみに、一方の所有者が申請した後、筆界の反対側の土地の所有者には、筆界特定が行われることが通知されます。筆界特定は、この両者に関係することですから、当然の措置といえますね。
4)の記述は正しいですね。
筆界特定が行われたことを示す筆界特定書は、だれでも写しの交付を受けることができます。
なので、これからその土地を購入しようとする人も、事前に見ることができるわけですね。
また、筆界特定が行われたことは、登記簿の表題部にも記録され、そこから知ることもできますよ。
では、次の方の解答をご紹介します。
■お寄せいただいた解答
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1) 筆界特定制度は、筆界特定登記官が土地の筆界の現地における位置を
特定する制度であり、筆界特定により各土地の所有者が有する所有権の
及ぶ範囲が確定する。
→不適切。土地の筆界を明らかにするための制度なので所有健の及ぶ範囲は筆界特定により確定しない。
2) 隣接する土地との筆界は、筆界特定制度によらずに、各土地の所有者
同士が合意のうえ、連名による公正証書等による書面により変更することも
できる。
→不適切。筆界は公法上の境界のため、所有者同士の合意により変更することはできない。
3) 隣接する土地との筆界について筆界特定の申請をする場合、あらかじめ
隣接する土地の所有者の承諾を得た場合を除き、各土地の所有者が共同して
申請をしなければならない。
→不適切。共有の場合は共有者が単独で申請できる。
4) 筆界特定書の写しは、隣地所有者などの利害関係を有する者でなくても、
対象となった土地を管轄する登記所においてその交付を受けることができる。
→適切。誰でも手数料を納付してして筆界特定書等の写しの交付を請求できる。
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解答いただき、ありがとうございました。
適切/不適切の回答は、あっていますね。
1)は前の方のところで解説しました通り、筆界特定制度には、あくまでも筆界を特定する意味しか持っていません。
所有権の範囲は、当事者同士で決めればよいことですね。
2)も解説いただいたとおりで、あっていますね。
筆界を変更したければ、登記によって変更することとなります。
3)ですが、前の方のところで解説した内容を、まずは参考にしてください。
この選択肢では、共有について問う問題ではなく、筆界のどちらに接している所有権者からも申請できる、ということを知っているかどうかを問う問題になっています。
ちなみに、共有の場合には、ご説明いただいたとおり、共有者のだれか一人が、単独で行うことができます。
そのため、分譲マンションを購入した区分所有者も、マンションの土地の筆界特定を申請できるというわけです。
4)は解答いただいた通りあっていますね。
前の方のところで書いた内容も、参考にしてください。
筆界とは、なかなか難しい概念ではありますが、難しいものを難しいままとらえると、理解したようなできてないような・・・という微妙な気分になりますよね。
でも、筆界特定制度について詳しくわかりやすく説明したサイトがありますので、ご紹介します。
法務省 筆界特定制度
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html
政府広報オンライン 筆界特定制度
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201112/3.html
東京法務局 筆界特定制度に関する“よくある質問”
http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/hikkai-qanda.html
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1級合格においては、こういう本家サイトともいえるところから、体系的に学んでおくことが大切です。
過去問をアレンジされても、対応しやすくなりますからね。
本日の解説は以上です。
ワンランクアップ問題の解答解説と、いただいた一言コメントは、今週どこかで別途ご紹介のうえ、私からもコメントをお返ししたいと思っています。
次の問題は明日にお送りしますので、皆様からの解答をお待ちしています!
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