FP技能士1級合格勉強会ブログ

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FP1級通信添削.9の解答解説:信託商品に関する問題

前回の、FP1級通信添削の解答・解説をお届けします。

今回は、一般の人にはまだまだなじみが薄い、信託商品に関する問題でした。

皆様からお送りいただいた回答内容を踏まえて、解答と解説をお送りします。

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    2018年1月 FP技能士1級学科 基礎編 問17(一部改題)

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各種信託商品の一般的な特徴に関する次の記述において、適切か不適切かを

答えなさい。

さらに、それぞれの信託商品が、誰のために、どんな課題を解決するために

用意されたものなのか、あなたがFPになったつもりで簡単に説明してください。

1) 暦年贈与信託は、信託設定時に委託者と受益者の意思確認が行われ、

毎年のあらかじめ決められた日に、自動的に受託者が受益者に一定額を

振込送金する信託である。

■お送りいただいた解答

不適切:親や祖父母等(委託者)が、信託銀行に金銭等を信託し、毎年一定額を

子や孫(受益者)に贈与する信託商品で、毎年贈与の契約を締結して、贈与税

基礎控除110万円までを非課税とする信託商品である。

注意する点は、毎年委託者と受益者の贈与の意思が確認されてから指定の金額を

送金する点である。

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ご解答ありがとうございました。

暦年贈与信託についての基本的なご説明もいただきました。

そもそもこの選択肢誤りですが、「あらかじめ決められた日に、自動的に」という箇所が誤りです。

贈与の都度、贈与金額や贈与の時期を、贈与者と受贈者とで決定し、契約書に記載していく手続き内容となっているためです。

暦年贈与信託は、連年贈与契約に該当しないよう、顧客にアドバイスをして運用するのが通常です。

暦年贈与信託のメリットは、1回1回贈与があったことを客観的な証拠として残せること、金融機関からの連絡をもらったりアドバイスをもらいながら、毎年の確実な贈与を行えること、相続税対策に使えること、などがありますね。

なお、贈与税の非課税額が110万円であるため、贈与額を110万円までに抑える方が多いようです。

しかし信託制度としては、110万円以上の贈与も可能となっています。

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1) 暦年贈与信託は、信託設定時に委託者と受益者の意思確認が行われ、

毎年のあらかじめ決められた日に、自動的に受託者が受益者に一定額を

振込送金する信託である。

■お送りいただいた解答

不適切:これは贈与を受ける受益者の事務負担軽減のために設けられているが、

受取方法は振込みに限らない。

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回答ありがとうございます。

「受取方法は振込みに限らない」とありますが、暦年贈与信託は金銭信託の一種であるため、銀行口座を用いて送金することを前提とした仕組みとなっています。

私も各銀行の暦年贈与信託商品を調べてみましたが、振込以外の方法で贈与もできると説明されているものは見つけられませんでした。

(実際にはもしかしたら存在するかもしれませんが、金融機関に個別に問い合わせるところまでは行っていません)

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3) 特定贈与信託は、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別

障害者の場合は8,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は5,000万円を

限度に贈与税が非課税とされる。

■お送りいただいた解答

不適切:特定贈与信託は特定障害者の生活を安定を目的とする信託商品である。

受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の

場合は3,000万円を限度として贈与税が非課税となる。

■お送りいただいた解答

不適切:非課税限度額が異なる。

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回答ありがとうございました。

この選択肢は、非課税制度の金額に誤りがある記述でした。

正しい非課税額は、解説していただいたとおり下記の金額です。

・特別障害者の場合は6,000万円

・特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円

この特定贈与信託は、障害者の方がその後の生活を安定的に送ることを目的とした制度です。

障害者の子を持つ親が、この信託制度を利用するケースが代表的活用事例として挙げられています。

親が生きていれば、障害を持つ子の面倒をみることができますが、親が亡くなってしまったら、子は親に頼らず生計を立てていかなければなりません。

その財産を、親が生前に信託財産というかたちで贈与をし、親が亡くなったら金融機関から生活費を子に送金して、安定した家計管理を実現できるのがメリットとなる制度です。

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4) 後見制度支援信託は、被後見人の生活の安定に資することを目的に

設定される信託であり、信託財産は金銭に限定されている。

■お送りいただいた解答

適切:記述の通り。信託財産の払い戻しや解約をする場合は家庭裁判所

発行する指示書が必要となる。

■お送りいただいた解答

不適切:信託財産は金銭に限定されない。

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回答ありがとうございました。

えがお二人で別れましたが、この選択肢の記述は適切であり、この文章の通りの説明で正しいです。

回答のポイントとなるのは、「信託財産は金銭に限定されている」という部分です。

金銭以外の信託財産は認められていません。

有価証券や不動産を直接信託財産とすることはできませんが、それを売却して現金化すれば、それを信託財産とすることはできます。

この後見制度支援信託は、判断能力が衰えてしまった被後見人が安定的に生活し続けられるよう、信託財産を金融機関が保護・管理してくれるのがメリットの制度です。

今回は3つの信託商品に関する問題を扱いましたが、本問で紹介されたもの以外にも信託商品には様々なものがあります。

それぞれの信託商品で、信託財産として「金銭のみが認められているもの」と「金銭以外も認められているもの」とがあります。

本問の暦年贈与信託と後見制度支援信託は、金銭のみが信託財産として認められています。

しかし特定贈与信託は、金銭以外に有価証券や換金性の高い不動産が、信託財産として認められています。

細かいところではありますが、商品ごとの違いも含めて、理解しておきましょう。

では最後に、いただいた一言コメントもご紹介します。

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私自身、この問題は試験本番では不正解でした(3を選択)。

手持ちのテキスト(オーム社)に載っていない問題でしたので、

色々調べて解答しました。 よろしくお願いいたします。

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調べていただきながら、回答をお送りいただきありがとうございました。

テキストに載っていない問題が続々と出題されるのが、FP1級学科試験の特徴でもあります。

分からない問題だったとしても、自分で調べることで多くのことを学べます。

例えば本問の信託商品については、各銀行のインターネットサイトを見れば、信託商品について詳しく説明しているページが見つかりますよ。

その記述内容が、試験対策に有益な知識となります。

なんといっても、自分で一生懸命調べたことは、記憶に残りやすいものです。

単に私の解答を読むだけよりも、自ら答えを探す活動のほうに、多くの学びと価値があります。

テキスト以外も活用して幅広くお金の学習をつづけていくことが、FP1級を乗り越える力に変わっていきますよ!

皆さんも、ぜひこの姿勢を持ちながら、この通信添削企画にお付き合いいただけると嬉しいです!

次回の問題は、明日に配信しますので、お楽しみに!

 

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■ 今後の勉強会の開催予定

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