FP1級通信添削.14の解答解説:確定拠出年金の掛金の年単位拠出に関する問題
前回の、FP1級通信添削の解答・解説をお届けします。
しばらくの間、7/29(日)に開催する「FP1級新制度&制度改正事項 徹底対策勉強会」で使用する問題から、一部抜粋して出題しています。
今回は、皆様から解答をたくさんお送りいただきました。
どうもありがとうございます!
皆様にとってもなじみ深い確定拠出年金だったから、解答しやすかったかもしれませんね。
でも1級試験では、なじみのないものも積極的に出題されますので、なじみあるものばかりをこの通信添削で出すわけにもいかないなあと思っています(笑)
今回も、皆様から頂いた解答をもとに、私からも解説をお伝えしますね。
なお、お送りいただいた解答の全てをご紹介しきれませんので、一部抜粋をしてご紹介させていただきます。
(いただいた解答は、私のほうですべて目を通しています)
予めご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
今回は、正解に近い解答ほど、後にご紹介していくことにしております。
では、最初の解答をご紹介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
FP1級新制度&制度改正事項 徹底対策勉強会より、さらに改題
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2018年以後、確定拠出年金制度の一部が改正された。改正後における下記の記述が正しい場合は、〇を記入のうえ、FPとして一言程度補足の説明を加えてください。
記述が誤っている場合は、誤りの箇所を正しい記述に訂正しなさい。なお、個人型確定拠出年金を以下「iDeCo」と表記する。
「掛金を年単位で拠出できるようになったことにより、公務員である者がiDeCoの掛金を、毎年4月に144,000円を拠出することができる。」
■お送りいただいた解答
○:掛金の拠出単位が「年一回以上」となったことにより、例えばボーナス時に
弾力的に拠出することも可能になり、限度額をフルに活用しやすくなります。
これまでは、資金不足等の理由により、限度額に使い残しがあっても、
翌月に繰り越すことが認められてなかったものが、今後は限度額を使い切り
やすくなるので、それだけ税制面においても優遇されやすくなります。
■お送りいただいた解答
◯正解です。
公務員は厚生年金の二号又は三号の被保険者になるため
確定拠出年金の掛け金の限度額は毎月12,000円になるため
年間で144,000となります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ここまで━━━
お二人とも、解答ありがとうございます。
記述が正しいとして回答いただきましたが、実は、この記述は正しくないのです・・・
正誤の解答は残念ながら間違いではありましたが、お二人が書いていただいた補足説明は、正しいですね。
今年1月の改正により、「毎月拠出」以外の方法が認められ、年間での掛金限度額以内であれば、1年を通して柔軟な掛金拠出ができるようになりました。
ボーナス時に多く拠出するとか、例えば3ヶ月に一回の拠出といったとも可能になっています。
補足説明が正しいのに、解答が間違いってどういうこと?と思われたかもしれませんね。
注目してほしかったのは「毎年4月に」という記述です。
年間で144,000円の拠出は可能なのですが、毎年4月に144,000円の拠出はできないのです。
では、次の方の解答を見てみましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
誤り
「毎年4月に」ではなく
「毎年12月を含み1年間で自由に」と直す
掛金の拠出については、12月分の掛金から翌年の11月分(実際の納付月は、1月から12月)の拠出期間を1年とし、この期間の拠出金額を設定します。この1年間の拠出の仕方は、加入者が自由にできます。ただ、11月分(12月納付)の掛金は、必ず含むこととされています。公務員であれば、毎月の限度額が12000万円ですから、年間で144000万円というところはあっています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ここまで━━━
解答ありがとうございます。
問題文の記述が「誤り」なのはあっていますが、解説の一部に誤りがあります。
「毎年12月を含み1年間で自由に」とありますが、掛け金は1年間の12か月間で自由に設定できますが(もちろん限度額の範囲で)、どの月でも144,000円を設定できるわけではないのです。
詳しくは、次の方の解答のところでご説明しますね。
それと1つ気づいた点がありますが、解説の記述の中に「年間で144000万円」という記述がありました。正しくは「年間で144000円」ですね。FP試験では、このように解答の単位を間違えると、不正解(部分点なしの0点)とする採点方式ですので、細かいところですが気を付けてくださいね。
では最後に、こちらの解答をご覧ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
回答 バツ
今回の改正で、掛金を年単位で拠出出来るようになったのは正しいのですが、将来の分を
前もって拠出することは出来ないのでバツになります。
会社などを退職する、勤めている会社が企業型DCを始める等、限度額が将来変更になる
事が起こる可能性があるため、前もって掛金を拠出することは出来ないと考えられます。
なお、この場合の1年は12月から翌年の11月までのサイクルになります。ですので、11月
に限り限度額(既に拠出をしている場合は限度額と拠出済の額との差)を一度に拠出する
ことは可能になります。
さらに年単位の拠出に関して注意する点は
・拠出限度額はこの1年サイクルを超えることは出来ません。
・iDecoの資格を取得した月より前の月の分として拠出することは出来ません。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ここまで━━━
解答ありがとうございます。
この問題のポイントとなる点も、しっかり書けていますね!
ご記入いただいた「将来の分を前もって拠出することは出来ない」というルールがあるのです。ここをぜひ、みなさん知っておいてくださいね。
言い換えると、掛金の前納はできないという意味です。
掛金を年単位で拠出できるといわれているものの、考え方としては、次の通りとなります。
・「毎月」の掛金上限額は、これまでと変わっていないが、
・ある月に掛金を拠出しなかったら、その掛金可能額は翌月に持ち越される(いわゆるキャリーオーバー)
・ただし年度末の11月拠出(12月引き落とし)を過ぎると、持ち越された掛金可能額は失われる
したがって、年間拠出可能額を全額一度に拠出できるのは、年間で最後の月となる11月拠出(12月引き落とし)に限られるのです。
今週の問題は、いかがでしたでしょうか?
比較的簡単♪と思われた方が多かったかもしれませんが、制度の深いところまで知っていないと、正しく解答できない問題でした。
世間では、単純に「掛金の年単位化が可能になった」等といわれていますが、FP1級試験ではもっと深い理解が求められます。
効果的な勉強法としては、厚生労働省が出している資料に目を通すとか、確定拠出年金を導入する企業や総務担当者向けの資料にまで目を通すことが望ましいですね。
7/29(日)に開催する「FP1級新制度&制度改正事項 徹底対策勉強会」では、この問題を含め、確定拠出年金の改正だけでも約10問ほど用意しています。今回の通信添削でお出しした問題は、実は、その中でも簡単な問題に分類されるほうなのです・・・
確定拠出年金に限らず、FP1級試験の対象となる制度改正に深くしっかりと対応できる力をつけたい場合には、こちらの勉強会をご活用くださいね。
この勉強会の詳細と参加申し込みは、下記URLよりお願いいたします。
https://money-study.net/fp/session/
今回いただいた解答に、一言コメントもいただきましたので、それは今週の別の時にご紹介させていただきますね。
次回も、新制度・制度改正について出題します。
次回の問題は、明日に配信しますので、お楽しみに!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 今後の勉強会の開催予定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●7/29(日) FP1級新制度&制度改正事項 徹底対策勉強会
●8月(予定) FP技能士1級学科 総合力強化勉強会
<姉妹サイト:FPスキル実践活用勉強会のご案内>
試験勉強で得た知識を発揮し、FPの実務力を高める内容を扱っています。
FPの方、FPを目指す方が集まる懇親会もあります。
●6/23(土) FP相談:価値観が違う夫婦の不安を解決するライフプランニング編
●6/23(土) FPなら知っておくべきお金の新制度&制度改正 勉強会
参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから: